懲戒処分について

東京弁護士会による戒告の懲戒処分は不当

 私が東京弁護士会(以下東弁という)から令和3年11月に戒告の懲戒処分を受けた件についてご説明します。結論を先に言えば、私には懲戒される理由は全くありません。今後、東京高等裁判所において懲戒処分の不当性を主張立証して行くことになりますが、結論が出るのは先のことになります。そこで、このホームページをご覧になった方にこの件の概要をご説明いたします。

 この件は、弁護士会にとっては難件だったようで、東弁は、一旦懲戒しないという結論を出しましたが、日弁連は、その決定を取り消して審査を命じ、東弁は一転して戒告とした事案です。

本件の概要

 本件は、婚姻費用(生活費)を巡る妻と夫の争いでした。

 妻は平成20年10月に無料法律相談で私に対し、マンションを出て行った夫から生活費が送られて来ないので困っているとの相談をし、私は当初は無報酬、2年半後に着手金5万円を受け取って夫に電話連絡や面談で交渉し、平成22年8月から26年7月までの4年間に380万円を直接妻宛に送金させました。私はこれについての報酬を受け取るつもりは無く、現に一円も得ておりません。

 平成27年7月、妻が夫名義のマンションから退去したことからこれを売却できることになり、夫は私の説得を受けて、その売却代金から債務や経費等を除いた全額を妻に支払うことを約束しました。そしてその結果、妻は売却代金から夫の手元に残ったほぼ全額の690万円を取得し、90万円の弁護報酬を私に支払いました。

東京弁護士会による懲戒理由の要点

 東弁の懲戒理由の要点は、次の4点です。

1)妻から事件受任に当たり、委任契約書を作成しなかった。
2)私が生活費を夫に送金してこれを妻に送金させた。
3)夫に対して任意の交渉のみを行い、法的手段を一切執らなかった。
4)無断で報酬を取った。

懲戒理由に対する反論

 これらはすべて不当で成り立ちません。

 1)については、受任した事項は、任意の交渉により夫から生活費を送金させるだけのことで、契約書を作成するほどの事務ではありません。妻と面談したのは二回だけで二回目が着手金受領の日でした。

 2)については、妻がこのままでは自殺か餓死するしかないと訴えたので、そのような結果を避けるために行ったことです。これ以外の動機は全くあり得ません。私が夫に送金したのは、妻がマンションを退去するずっと前のことで、売却は事実上不可能ですから、多額の報酬なるものが得られるはずはありませんでした。なお、私が夫を介して妻に送金したのはこれ以前に餓死しかねないなどと訴える妻に同情して二度ほど5千円を郵送したことがあり、その都度妻から返金してきたので、妻に余計な精神的負担をかけたくないと考えたからです。恩に着せるつもりが無かったことは、この事実を明かしたのが紛争が生じた後であったことからも明らかです。また、その金額は数回で合計10万円ほどであり、これが餓死を免れるためには意味がありますが、前記の送金額と比較すると成果の偽装となるほどの金額ではありません。

 3)については、妻から委任されたのは任意の交渉のみであり、それ以上の法的手段の委任は一切ありませんでした。夫は法的手段が執られれば一切妥協せず徹底的に争うと断言していたし、そのことは妻も熟知していました。

 4)については、妻は長期間にわたり無報酬で夫と交渉する私に感謝して、マンションの売却で得られた金の2~3割を報酬として差し上げると常々言っておりました。無断では全くありません。

本件については既に和解が成立している

 以上のほか、本件については妻と私の間で大阪地裁において民事訴訟で争っておりましたが、約4年間にわたる22回の期日を経て平成3年1月に「この後一切双方の名誉を毀損するなどの行為はしない」との和解が成立しております。解決金は120万円(請求額の約1割)でした。私が和解に応じたのは、当初はマンションの売却額約6千万円の半額の権利があると主張していたのに、報酬金90万円(妻にとってもこの金額支払いは懲戒理由の主要なものではなかった)に金利分をつけた程度で一切が解決できるならばこんな件から離れる方が良いと考えたからであって、自己の非を認めたわけではありません。私の反省点は、必要以上に親切誠実に対応したことだけです。

 東弁や日弁連はこの和解成立を知りながら、これを無視して妻の請求に応じて懲戒処分を下すのは明白な和解条項違反です。

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